点検作業員の葛藤

随分間が空いての更新となってしまいました。

工事やらなにやら書きたいことだけは山ほど溜まっていくのですが

まとめる時間が全く取れずで・・・整理してから手をつけようと思います(すみません)。

 

と、放っておくといつまでたっても更新が進まないので

気分を変えて、以前「マンション、アパート点検の入室率」でも書いたことなのですが

つい先日改めて思うところがあり、今日は実例と点検作業員側の視点で書いてみようと思います。

 

5月と11月に消防設備の定期点検をしているその物件は

敷地は違いますがすぐ近所に3棟が分かれて建っているアパートです。

間取りは1LDK。ほとんどが単身者と思われます。

 

平日点検実施の契約で、もう10年くらいやってますが

まあほとんどいないです。

今回の点検結果は

A棟 27室中実施5室(過去最少ゼロ、最多7室)

B棟 21室中実施2室(過去最少ゼロ、最多3室)

C棟 27室中実施3室(過去最少ゼロ、最多5室)

まあ・・・こんなものです。

 

1か月ほど前に、いついつ何時から点検やりますので出来るだけご協力お願いします、

と案内のチラシを居住者全員にポスティングしています。

ですが平日の昼間ならまあほとんどお仕事で留守・・・そこは当然といえば当然かと。

ただコロナ禍でリモートワークが爆発的に増えたと思われ、

実際今会議中で相手出来ませんけどそれでもいいならどうぞ、と

比較的入室率は良くなったほうなんですこれでも。

 

そんな中。

ピンポーンと鳴らしても無反応。物音もしない。まあ留守だよね。

と次々にインターホンを鳴らしていくわけです。

201号室から206号室まで全室不在。

207号室をピンポンしたら、向こうの階段から上がってくる人が!

どこかの居住者が帰ってきたのかな?と思ったらウーバーなんとかの配達員的な方。

202号室をピンポンしてます。ドアが開くじゃないですか!

207号室が不在であることを確認してダッシュで202へ向かいます。

 

ピンポーン。

・・・

反応なし・・・

 

何かを受け取ったばかりだから少し待ってみるか、と

1分くらいしてからピンポーン。

ガサガサ、という物音が聞こえるも反応はなし・・・

 

こうなるとですね、意図的に出ない意思を感じざるを得ないんですよね。

 

点検をやっていると、こういった状況は日常茶飯事なんです。

 

消防点検を依頼をされるオーナー様の多くは入室率を出来れば上げたいのが本音。

我々点検員としても出来れば留守ばかりで今まで点検出来ていない部屋は点検しておきたいのが本音。

そういうところこそ不良個所が眠っているかもしれないので。

 

今回の202のように在宅しているとわかりきっているお部屋は

何度か訪れて点検協力をお願いするのが本筋ではあると思う一方で、

何らかの事情があり入室されたくない、いるのバレてるけど見なかったことにしてほしい、

と居留守を使われることで居住者の声無き訴えとでも言うのでしょうか

開かぬドア越しに感じるこのアツが二度目、三度目のピンポンをためらわせるのです。

 

オーナー様側の思いにも応えたい、しかし居住者のパーソナルスペースも脅かしたくない・・・

 

いっそのこと、ウーバーなんとかを目撃しなかったら良かったのに。

そんな風に思うことさえあります。

 

ウーバーに限らず、最近は置き配なんていうのが増えてきまして

置いてくだけならああ不在なんだなと自分を納得もさせられますが、

ガチャッとドアが開いて「いる!」ことがわかってしまった時は

こういう葛藤を常に抱えることになります。

こういうところに突撃すると、ピンポンして出てきてもらえても

どこかバツが悪そうで本意ではなかったことがヒシヒシとわかったり

そういう時はこちらもどこか申し訳ないような気分になったり

 

次の棟では、3階が全室不在。

2階を回っていると、上階のどこかでドアの開く音がします。

ドッドッドッドッと明らかに通路を走る音。

そのまま階段を駆け下りて建物外へ出ていってしまいました。

 

更に次の棟では、点検開始時にちょうど帰宅された居住者と鉢合わせし、

あ、今日消防点検なので後ほどお伺いしますね!と声をかけ

ああ、はいと返答をもらえたものの

階段を上がっていったのに2階も3階も全室不在という。

 

・・・・・・。

 

点検は悲喜こもごもです。