民泊予定物件 消防設備工事について

こんばんは、八巻です。

気が付けば1年以上更新出来ていないのですね(汗

 

昨年夏頃から、急に民泊関連のご相談をたくさんいただくようになりました。

特に今月に入ってから、平均して2日に1回くらいの頻度でお問合せがあります。

今日はそのあたりのことを少し書いておこうと思います。

 

■民泊に必要な設備

民泊をやろう!とお考えの皆様の中には、消防署へ事前相談に伺った方も多いと思います。

うちへご相談いただく際も、消防に行ったらこれとこれをつけるよう言われた、と仰る方も多いです。

建物の規模や用途にもよりますが、民泊に必要な設備は主に

 

①消火器

②自動火災報知設備 又は 特定小規模施設用自動火災報知設備

③誘導灯 又は 誘導標識

④非常用照明

 

こんなところです。

消防庁・住宅宿泊協会より「民泊を始めるにあたって」というリーフレットが出ていますので

詳しくは下記リンク先をご参照ください。

https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/suisin/items/minpaku_leaf_horetai.pdf

 

その中で、特に②に関してはどちらの設備が必要かによって工事金額がびっくりするほど変わってきます。

一般の戸建て住宅で民泊営業をされる場合は

・延床面積が300㎡以下で、且つ2階建て以下 →特定小規模施設用自動火災報知設備(=特小)

・延床面積が300㎡以上、又は3階建て以上 →自動火災報知設備(=自火報)

の設置が必要です。(3階建て以上の場合は条件付きで特小が認められます)

 

特小は無線式の連動型感知器を必要な箇所に設置するだけでOKなので、工事も簡単です。

各宿泊室(居室)、台所、2㎡以上の収納、階段上など、基準に従って設置する必要があります。

感知器は1個あたり15,000円前後です。(2025年3月現在)

 

特小が認められない場合、通常の自火報の設置が義務となりますが、

こちらは「火災受信機」「総合盤(表示灯・発信機・ベルのセット)」「感知器」などを

有線で全て繋げる電気工事が必要となり、特に後付け設置となるので新築時の工事と違って

床下・壁裏・天井裏に配線を隠蔽しにくく、露出配線での工事が必要になるなど

施工の手間がかかってしまうためどう少なく見ても100万円以上は覚悟が必要です。

 

自火報を設置しなければならない規模の建物での民泊営業は、

初期投資回収の観点から考えるとあまり現実的ではないといえます。

 

③については、誘導灯も電気設備なのでブレーカー工事や配線工事が必要になるためそこそこお金がかかるのですが

後述の「ゆめゆめトラベル」様が誘導灯つけなきゃだめですよ、という消防の指導に対し

誘導灯と「求められる同等の性能があること」の証明書類をご用意されて消防側と粘り強く交渉され

「蓄光式高輝度誘導標識」という電気配線を必要としない貼り付けるだけでOKな設備で認められたケースもあります。

(ただし非常照明が直近にあること、等の制限はありますが)

 

④に関しては、2階以上の階の設置要件として、リーフレットの中に

「廊下等に非常用照明装置を設置すること」

「又は」

「常時容易に使用できるように居室に携帯用照明器具を設置すること等により、夜間の停電時等においても避難経路を視認できること。」

と説明文がありますが、

非常用照明も結構高いんですよ・・・

で、「又は」にある「携帯用照明器具」は要するに懐中電灯のことで、それ各部屋に置いてくれれば非常用照明は免除するよ、

という代替措置があるのでコスト的には断然こちらですよね。(事前に消防確認は取っておいた方がよいですが)

 

このように、基準に従って必要な設備をどこにいくつ設置しなければならないか、と

免除条件、代替条件があるかないかを事前に確認しておくことも重要と思います。

 

■工事開始から完了までの流れ

お問合せいただく中で、一番多いのが

「今月開業したいので急いで設置して欲しい」

という超特急工事のご希望です。

 

結論から申し上げますと、設置が必要な設備にもよりますが、

最低でも2週間、モノによっては1か月程度はかかってしまいます、ということです。

 

その理由は、「消防署の書類手続き関係」「必要機器の納期」が絡んでくるからです。

まず、ご依頼いただくには当該物件の図面(各階平面図)が必要となり、

それをもとに「着工届出書」を管轄消防署へ提出します。※免除の場合あり

工事開始は着工届が提出されてから10日後以降という決まりがあるので、ここで10日間は待機が必要になります。

 

その間に必要機器の発注を行うのですが、機器によって数日で入荷するものもあれば、

特小感知器の場合2週間、下手したらそれ以上の納期を要する場合もあるので

「今スグつけて!」が不可能な理由がここにあるのです・・・

 

また、我々のような消防設備業者の多くは各月ごとに消防点検物件も多く抱えているため、

お話をいただいた時点から常に1~2か月先まであらかじめ予定が埋まっておりまして

空いている日程の中で工事日を決めなければならず

機器は揃ったけど工事日が1か月先じゃないと取れない、というケースがあります。

ので、申し訳ありませんがどうしてもお急ぎでしたらすぐ対応してくれる他の業者をあたってください・・・と

工事を辞退させていただいた方がたくさんいらっしゃいます(本当に申し訳ございません)。

 

話を元に戻しますと、着工届提出から10日後、機器も揃った!工事日もOK!で

工事に取り掛かります。特小と誘導灯で少量であれば一日で終わりますので、

工事完了から4日以内に設置届出書の提出を行います。

この時点で「消防検査(=消検)」の予約を取ります。

提出した設置届の内容精査の期間も必要なので、消防署のスケジュール次第となりますが

早くて3日後、たてこんでいると3週間先くらいになってしまうこともあります。

実際に消防官数人が来訪して、届出書通りに設置されているか機能確認をします。

検査に合格すると、3日~1週間ほどで「検査結果済証」が交付されるので

これを受領すれば手続きが全て完了する運びとなります。

 

これらをまとめますと、それなりの期間が必要となってしまうわけですね。

着工届が免除されれば、機器があって工事日も確保出来た時点ですぐに工事に入れますので

10日間の縛りがなくなる分少し早くなります。

 

■その他注意事項

消防設備に関する届出書類以外にも、

・防火対象物使用開始届出書

・消防法適合通知申請書(住宅宿泊事業法)

・その他民泊事業運営に必要な申請・届出

などの手続きが必要です。これらの作成代行は弊社ではお請け出来ません。

 

■パナソニック機器関連情報

パナソニックの消防機器ですが、4月の価格改定でなんと最大で50%程度の値上げがあるとの

驚愕の情報が飛び込んできています・・・

値上げ幅は機器にもよるそうですが、特小感知器の場合50%値上げになると

約15,000円の定価が22,000円~23,000円になってしまう可能性もあり

10個設置の場合70,000円~80,000円の差異が出てしまいますのでコスト面では相当な打撃になります。

更に自火報関連機器の多くはメーカー在庫長期欠品中が続いており、

納期が発注から4か月以上かかってしまうケースもあるとのことです。

 

接続出来る全体数に限りがあるのがネックでしたが、現状より多数の感知器を接続出来る「中継器」が

10月頃に発売開始となるようです。

ちょうど今も感知器数が限界数を超えるので特小自火報が使えず自火報設置を指導されている物件のご依頼があり

10月までお待ちいただければ自火報でなく特小自火報が使用出来ますとご案内をしているところです。

ただ、納期の遅いパナですから・・・10月販売開始でも予約していないといつ入ってくるかわかったもんじゃありませんが・・・

この中継器発売により、他メーカーも遅からず現在の基準に合わせた特小自火報機器の開発を進めてくると思われます。

現在パナ一択の現状ですが、他メーカーとの競合が増えることで単価が下がってくるといいですね。

 

 

細かい部分まで書くとキリがないのでざっくり書いてみましたが、ご参考にしていただければ幸いです。

 

■最後に

以前ご縁がありまして、「ゆめゆめトラベル」様の民泊物件で消防設備工事をさせていただいたのですが

住宅宿泊管理業をされている会社で、民泊に関する様々な知識・情報を発信されています。

東京都23区ごとの民泊ルールなど、大変参考になるコラムも多く執筆されていますので

事業をお考えの方はぜひ一度ご覧いただくことをお勧めいたします。

(うちなんかよりよっぽど詳しいです!)

 

民泊の消防設備対応で失敗しない!基本知識と知っておきたい3つの注意点(特典あり)

私もちょこっと載せていただきました(笑)